2023年4月7日金曜日

『まちぶせ』の話(4)

 


今回は少し戻って『まちぶせ』についてです。

『まちぶせ』は本会誌60号(平成29年1月発刊)に掲載された短編小説です。以前紹介したとおりですが、文著作は当会主力の「紺藤良古」、挿絵扉絵は当会のエース「ごまドレッシング」が担当しています。『まちぶせ』は59号(平成28年1月発刊)掲載の短編小説『羊雲』の続編となる「平成雲シリーズ」の第2作目になっています。主人公は「昭和雲シリーズ」の『積乱雲』主人公のひとりでもあった「伊達舞姫子」です。その舞姫子が40代になり、親友の葬式に参列後、高校時代から繋がっている秘められた出来事に気が付くというストーリーです。

扉絵については、私がコンテを切って「ごまドレッシング」に渡したものがあります。作品の世界観をそのままに、「今の自分(舞姫子)=喪服を着て友の葬儀に出席した姿」と「高校時代の先行きの不安を感じずに前を向いていた自分(舞姫子)」を対比させるという構図を示していました。背景も雲シリーズにならって夕暮れの羊雲をはめています。

ところが「ごまドレッシング」が私のコンテを越えるすばらしい扉絵を完成させてくれたのです。今の主人公と過去の主人公を背中合わせにすることで、忘れることのない高校時代の初々しくも熱い気持ちを今の舞姫子にしっかり投影してくれたのです。このコンテを越えた作画には、本当に脱帽です。「ごまドレッシング」に感謝です。

絵の上段は私の書いたコンテです。61号でも紹介しています。絵下段は以前も紹介しました60号掲載の「ごまドレッシング」による扉絵です。

次回は、再び『いつかのセッション』の話をします。

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