2023年12月14日木曜日

『ゴミ溜めの花束』について(1)

令和2年1月に発刊された『天真爛漫』63号に掲載された作品について、引き続き詳しく紹介していきます

本号には短編小説が2本ほど収められています。

両編とも当会の主力である「紺藤了古」が著作したものです。

挿絵についてはそれぞれ別のイラスト描きさんにお願いしています。

前回までは『蜘蛛の糸-A0』について述べてきました。今回からはもうひとつの短編小説『ゴミ溜めの花束』について数回にわたり語っていきたいと思います。

この作品は「紺藤了古」が長年書き続けている「雲シリーズ」の正当な続編です。59号『羊雲』から62号『夏の真ん中』までの一連の短編のその後を描いた作品で、登場人物は61号『いつかのセッション』で主人公格だった「阿井みゆき」です。彼女の本業での活躍を描いた推理小説となっています。

挿絵は「ごまドレッシング」さんに引き続き描いてもらいました。

上はその扉絵です。

本作では新たなキャラクターも登場します。そして本格推理小説が展開されていきます。

次回は踏み込んだ内容をお話していきます。

2023年11月8日水曜日

『67号のお知らせ』

 会誌『天真爛漫』の最新号発刊のお知らせです。

 今年(来年?)もOB会はやります! 例年発刊していますOB会誌『天真爛漫』を1月の総会で配布します。OB会員の皆様には無料配布を予定しています。

 本号の目玉は、なんと言っても9年ぶりの掲載となる『絵里シリーズ』の最新話です。『絵里シリーズ』といえば、1998年刊行『天真爛漫41号』より掲載されているOB会誌の超ロングシリーズ小説です。本ブログでも度々取り上げています。著作者の紺藤さんへの取材では「今号で高校生編は終了します」とのこと。怒濤の展開が待っています。10年前の前々作『聡明なる歌姫は戦うことを決意する~私の居場所はそこにある』と同じく本文著作は紺藤了古、カットと扉絵はθ(シータ)が担当、原案は丸木戸定夫です。(左は試作の表紙:Θ画)

 
その他にも、おなじみの作家陣によるイラストやコラムが多数、どうぞ楽しみにお待ちください。

次回から63号に戻り、掲載作品の小説『ゴミ溜の花束』について語っていきます。

2023年10月13日金曜日

『蜘蛛の糸-A0』(2)

 私のパソコン事情によって、更新に少し時間がかかってしまいました。

 改めて令和2年1月に発刊された『天真爛漫』63号に掲載された作品について、詳しく紹介しています。前回より『蜘蛛の糸-A0』について詳しく述べており、今回は2回目です。本作著者は当会の主力小説家である「紺藤良古」、挿絵は「θ(シータ)」が描いています。

前回では本編が「SF」であることを述べました。さらに芥川先生の『蜘蛛の糸』の2次創作であることも併せて述べました。そこで今回は本作の最大のナゾである題名に記されたA0(エーゼロ)が何なのか、解説したいと思います。

 私も初読の際には芥川先生のAと何かのもじりの0(ゼロ)かと感じたところです。

 その後、著者の紺藤良古に訪ねたところ意外な回答が返ってきました。

「本編は芥川先生の『蜘蛛の糸』をパロディ化した作品です。登場する蜘蛛は戦闘機という位置づけです。それも高度に制御された搭乗型の単独行動用マルチコンパクトタイプというSFメカ要素を含んでいました。その蜘蛛が地獄の亡者という極めて前世紀的な妄執の塊と対峙する姿は、当時OAされていた『アルドノア・ゼロ』のスーパーロボ対リアルロボの構図と被っていると感じました。そこでオマージュの意味も込めて『A0』と銘打ちました」

 想像だにしなかった命名の航跡に、ただただ感慨深く頷きました。

 次回は来年早々に発刊予定の『天真爛漫Vor.67』についてお知らせします。

2023年8月18日金曜日

『蜘蛛の糸-A0』について(1)

 令和2年1月に発刊された『天真爛漫』63号に掲載された作品について、詳しく紹介していきます

 本号には短編小説が2本ほど収められています。

 両編とも当会の主力である「紺藤良古」が著作したものです。挿絵についてはそれぞれ別のイラスト描きさんにお願いしています。

 今回からしばらくの間、連載形式で『蜘蛛の糸-A0』について詳しく述べて行きます。挿絵は「θ(シータ)」さんに描いてもらいました。

 上はその挿絵です。

 この小説はジャンルとしては「SF」になりますが、いわゆる「パロディ」でもあります。元作品はみなさんご存じの芥川龍之介先生著作の名作『蜘蛛の糸』です。

 本作品は作者の紺藤が久しぶりにシリーズ物から離れ、単独の読切作品として掲載したものです。60号『無情慟哭』以来となります。

 本著者がSFを書くことも非常に珍しく、平成に入ってからは唯一ではないでしょうか。昭和期の「天真爛漫」にはあったかもしれませんが、復刻や再版されていないものも多く手に入らない号も多々あるため、私の記憶の範囲ではあります。

次回は踏み込んだ内容を予定しています。

2023年8月7日月曜日

『63号の内容』

前号から会誌『天真爛漫63号』の紹介をしています。

左は『天真爛漫63号』の目次です。

小説が2点とイラスト、コラム系もいくつかあり、まさにゴチャ混ぜ感は大いにありです。テイストは前号と変わらないのですが残念なことに全18Pの薄い内容となっています。ひとえにライター(イラストレイター)さんの不足にあります。私が編集した最後の号であり、令和になって初めての号なのですが、努力不足の讒言はあえて承るところです。

小説はシリーズ物とは別に、久々に単独読み切りの意欲作が掲載されています。

次回から本号掲載の小説『蜘蛛の糸 A-0』について語っていきます。

2023年7月29日土曜日

『63号発刊しています!』

 今号から会誌『天真爛漫63号』の紹介をします。

 左の絵は令和2年1月に発刊しました『天真爛漫63号』表紙です。

 表紙絵は55号より9回連続で当会エースの「ごまドレッシング」が担っています。本号も引き続きカラー表紙です。印刷会社さんをプリントキング様を引き続き利用させていただきました。

 63号もこれまでのテイスト(味付け)を引き継いでおり、相変わらずゴチャ混ぜ感の大きい冊子です。令和になって最初の刊行であり、昭和から年号を三つも重ねる冊子となったことは感慨深く感じています。

 また、私が編集した最後の号でもあります。もちろん来原さんへ移譲過渡期のため、来原さんには随所でお手伝いいただきました。

 次回からは内容について触れたいと思います。

2023年7月19日水曜日

『最後の審判』(4)

  再び『天真爛漫62号』に掲載された小説『最後の審判』について話します。

『最後の審判』は、当会随一の作家「紺藤良古」が執筆したもので、作中挿絵と扉絵をθ(シータ)が担当しています。「神楽・弥呼シリーズ」の正当続編です。

 今回も挿絵担当のθ(シータ)さんがラフ絵で登場人物のデザインを寄せてくれています。

左の「神楽」が、そのデザイン画です。

 52号および53号で描かれていた神楽は、設定に基づき女子高生として描かれていました。今号では「大人になった神楽」が登場するためθ(シータ)さんがデザインから起こし直してくれました。

 挿絵やラフ画でもわかるとおり、神楽の基本装束は「巫女服」です。一方の弥呼は基本として「黒い制服」で描かれ、普段着的に修行僧が好む「作務衣」で描かれています。神道と仏教が混在する設定は、舞台である国東半島の「神仏習合」文化を顕しているものと言えるでしょう。

さて、いよいよ次回からは63号について紹介をはじめます!