2023年4月11日火曜日

『いつかのセッション』(3)

 今回は『いつかのセッション』に戻って話をします。

 本作の主人公に「淑子」が登場します。この主人公ですが「昭和シリーズ」には登場しない人物です。今回、新たに設定されたキャラクターということになります。

「平成シリーズ」は1作目の『羊雲』が「昭和シリーズ」の『羊雲』をリニューアルする形で始まりました。そのため登場人物がシリーズを通して同一であるという特徴を持っています。前作『まちぶせ』では「伊達舞姫子」の母が登場します。これも新キャラクターではありますが、あくまで主人公は「舞姫子」という旧知のキャラでした。そういった意味では今作は「平成シリーズ」ならではの新しい展開だと言えます。上の絵は作中挿絵で「淑子」を描いたものです(作画は「ごまドレッシング」)。

 題名である『いつかのセッション』をどこかで聞いたフレーズだと感じたのは私だけではないと思います。もしやと思い作者にも尋ねたところ「水穂しゅうし先生の作品の題名を意識したのは事実」と吐露されました。物語の核心に触れるフレーズなので、ただパクったのではなく、結果として似てしまったというところでしょう。ちなみに「水穂しゅうし」先生の有名な作品『いつかのメイン』が元ネタです。本作とは趣旨と方向性ともに異なっており、物語自体もパクりではありません。ですが「水穂しゅうし」先生へのリスペクトは充分に感じ取れました。

さて、次回は61号全体を振り返りたいと思います。

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