今回も紺藤さんの作品、小説『羊雲』についての記事です。
3版にわたって、この物語の佳境は同じシーンです。
主人公の浩子が空の羊雲を見つめて独白するところです。
初版と2版では、浩子は台詞を用意していたかのように訥々と語ります。
3版では羊雲を見上げて思いついたように語ります。
一見、雲の形にかけて、人と人のつながりのあり方を説いた様な言葉です。
ですが、よく読んでみると浩子の複雑な心境が雲に投影され、刹那く語っているようにも見えます。
2版まででは、明確な台詞立てやアクションが伴いません。
3版で初めて第三の登場人物の美雪によって、浩子の揺れる感情が語られています。
そういった意味では、大改稿によって、ずいぶんと読みやすくなっているのでは、と感じました。
今回の絵は、当会主力の「ごまドレ」が『天真爛漫』59号にて発表したものです。
クライマックスにふさわしく、浩子達の青春グラフティーを鮮やかに描き出しています。
さて、次回の更新では『羊雲』を一旦離れて、同時掲載された「雲シリーズ」である『漆黒の花輪』(しっこくのかりん)について紹介します!
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