2023年6月28日水曜日

『夏の真ん中』(2)

 62号掲載の小説『夏の真ん中』について語ります(2回目)。

 この小説の著者は、当会きっての小説家「紺藤良古」です。作中挿絵を「ごまドレッシング」が担当しています。この二人のコンビは4作目となります。

 左は作中挿絵は、ごまドレッシングによるものです。

 本作は紺藤さんの作品群「雲シリーズ」にあたります。59号掲載の『羊雲』、60号掲載の『まちぶせ』、61号掲載『いつかのセッション』に続く「平成雲シリーズ」の第4作目でもあります。

 本作は59号『羊雲』で主人公だった「村上浩子」の25年後の物語です。40代半ばの浩子が親友の初盆に参るなかでのワンシーンを切り取った話です。59号『羊雲』のデジャブを描く作品ですので、『羊雲』を読んでいないと見えづらい伏線が隠れています。もちろん紺藤さんは『夏の真ん中』だけでも読める工夫をされていますので、そのまま読んでいただいて大丈夫です。

 さらに隠された伏線があるのですが、これは「昭和雲シリーズ」を読んでみないとわからない伏線です。私は「昭和雲シリーズ」の挿絵を担当していますので、このすごい伏線に気がつきました。33年越しで小説として描かれる伏線回収。気がついた際に作者の紺藤さんに連絡し確認したくらいに感動しました。

 残念ながら、この伏線が張られている「昭和雲シリーズ」の5作目『積乱雲』については再版や復刻がされておらず、現状で手に入らない作品になっています。

 さて、次回は以前に書きかけました本シリーズでの「雲」のイメージについて解説していきたいと思います。

2023年6月22日木曜日

『夏の真ん中』について(1)

 少し更新に間が開いてしまいました、やっと私のネット環境が整いましたので更新を再開します。

 今回から62号掲載の小説『夏の真ん中』について語ります。

 この小説の著者は、当会きっての小説家「紺藤良古」です。作中挿絵を「ごまドレッシング」が担当しています。この二人のコンビは4作目となります。本作は紺藤さんの作品群「雲シリーズ」にあたります。59号掲載の『羊雲』、60号掲載の『まちぶせ』、61号掲載『いつかのセッション』に続く「平成雲シリーズ」の第4作でもあります。

「雲シリーズ」のルーツは、昭和61年刊行の4号に掲載された『茜雲』です。この作品を初出として長短編7作からなる昭和シリーズが登場人物達の高校時代を描く青春群像劇として掲載されています。今では入手できない刊行号もあり、幻となっている作品もあります(19号掲載『紅い雲』)。この「昭和雲シリーズ」の作中挿絵は、そのほとんどを和田が担当させてもらいました。

 さて左上の絵は『夏の真ん中』の表紙絵です。もちろんごまドレッシングさんが描いてくれたものです。誰の立ち姿かわかりませんが、あきらかに喪服です。本編に誰かの死が描かれていることを予感させます。そして題名通り「夏」の物語。ストーリーはこれまでの平成雲シリーズと同じく青春の残り香を描いていいます。刹那くも優しく、それでいて爽やかで懐かしさ漂う展開です。時系列としては60号の『まちぶせ』より少し後の話となるでしょう。

 次回は話の内容について触れたいと思います。