2016年2月25日木曜日

羊雲の話(1)

今回よりしばらくは紺藤良古氏の『羊雲』について話していきます。
ここで語るのは、もちろん『天真爛漫』59号に掲載された短編小説の『羊雲』のことです。
この『羊雲』については、過去に2回ほど『天真爛漫』に掲載されています。
初出は1987年(昭和62年)7月20日刊行の10号です。当時は誤植が多く、文章としておかしな箇所が多かったのを憶えています。2版目は1998年(平成10年)9月12日刊行の『天真爛漫Novels』に掲載されています。これは基本的に初出版の誤植修正のみです。
両作品とも挿絵は私が担当しました。2版目で挿絵はさすがにリファインしていますが、作品世界の図化としては、初出の方ができはよかったと、当時も今も反省しています。
そして今回2016年1月2日刊行59号に再登場なのですが、なんと!作品自体が大きく改稿されています。さらにカットを私に代わって新進気鋭の「ごまドレッシング」が担当。ノリに乗った「ごまドレ」の筆が、主人公の浩子に命を吹き込み直しています。
さて次回は改稿された新『羊雲』の中味について斬り込んでいきます!
※カットは『天真爛漫』59号『羊雲』より、もちろん「ごまドレ」作です!

2016年2月12日金曜日

まつり「此処に居る」その2

さて前回に続き、まつり作の「此処に居る」についてです。
この物語は、当初から短編読み切りを意識して作られたものです。
ですので当然キャスティングが2名と少ないです。
主人公は感受性の強い普通の女子高生。『天真爛漫59号』で公開している初稿バージョンでは、陸上部という設定です。
一方、もう一人の登場人物は正体不明の存在。一応、女子高生の姿をしていますが、超常現象的な人物です。
この二人の爽やかで鮮やかな高校生ならでわのやりとりが本作の柱です。
ただ・・・この組立てが当会の年配組に厳しい論をさせてしまいました、非常に丁寧に作り込まれた良作なのですが。
前回も記事にしましたが、手法が昭和50年代~60年代にかけて多用されたものです。
日常に入り込むファンタジー・・・コバルトや朝日ソノラマを中心に大ブームを巻き起こしたのは、年配組の青春期です。マンガでも同じような設定で多くの作品が排出された時期です。
今の若い方々には「変わった」手法でも、年寄りにとってはそうではない。
当会の年齢層が幅広くなった証拠です。
さてさて、次回はこの流れのまま別の作品に切り込みます。
(※カットはθ:シータで本作中より)