2023年8月18日金曜日

『蜘蛛の糸-A0』について(1)

 令和2年1月に発刊された『天真爛漫』63号に掲載された作品について、詳しく紹介していきます

 本号には短編小説が2本ほど収められています。

 両編とも当会の主力である「紺藤良古」が著作したものです。挿絵についてはそれぞれ別のイラスト描きさんにお願いしています。

 今回からしばらくの間、連載形式で『蜘蛛の糸-A0』について詳しく述べて行きます。挿絵は「θ(シータ)」さんに描いてもらいました。

 上はその挿絵です。

 この小説はジャンルとしては「SF」になりますが、いわゆる「パロディ」でもあります。元作品はみなさんご存じの芥川龍之介先生著作の名作『蜘蛛の糸』です。

 本作品は作者の紺藤が久しぶりにシリーズ物から離れ、単独の読切作品として掲載したものです。60号『無情慟哭』以来となります。

 本著者がSFを書くことも非常に珍しく、平成に入ってからは唯一ではないでしょうか。昭和期の「天真爛漫」にはあったかもしれませんが、復刻や再版されていないものも多く手に入らない号も多々あるため、私の記憶の範囲ではあります。

次回は踏み込んだ内容を予定しています。

2023年8月7日月曜日

『63号の内容』

前号から会誌『天真爛漫63号』の紹介をしています。

左は『天真爛漫63号』の目次です。

小説が2点とイラスト、コラム系もいくつかあり、まさにゴチャ混ぜ感は大いにありです。テイストは前号と変わらないのですが残念なことに全18Pの薄い内容となっています。ひとえにライター(イラストレイター)さんの不足にあります。私が編集した最後の号であり、令和になって初めての号なのですが、努力不足の讒言はあえて承るところです。

小説はシリーズ物とは別に、久々に単独読み切りの意欲作が掲載されています。

次回から本号掲載の小説『蜘蛛の糸 A-0』について語っていきます。

2023年7月29日土曜日

『63号発刊しています!』

 今号から会誌『天真爛漫63号』の紹介をします。

 左の絵は令和2年1月に発刊しました『天真爛漫63号』表紙です。

 表紙絵は55号より9回連続で当会エースの「ごまドレッシング」が担っています。本号も引き続きカラー表紙です。印刷会社さんをプリントキング様を引き続き利用させていただきました。

 63号もこれまでのテイスト(味付け)を引き継いでおり、相変わらずゴチャ混ぜ感の大きい冊子です。令和になって最初の刊行であり、昭和から年号を三つも重ねる冊子となったことは感慨深く感じています。

 また、私が編集した最後の号でもあります。もちろん来原さんへ移譲過渡期のため、来原さんには随所でお手伝いいただきました。

 次回からは内容について触れたいと思います。

2023年7月19日水曜日

『最後の審判』(4)

  再び『天真爛漫62号』に掲載された小説『最後の審判』について話します。

『最後の審判』は、当会随一の作家「紺藤良古」が執筆したもので、作中挿絵と扉絵をθ(シータ)が担当しています。「神楽・弥呼シリーズ」の正当続編です。

 今回も挿絵担当のθ(シータ)さんがラフ絵で登場人物のデザインを寄せてくれています。

左の「神楽」が、そのデザイン画です。

 52号および53号で描かれていた神楽は、設定に基づき女子高生として描かれていました。今号では「大人になった神楽」が登場するためθ(シータ)さんがデザインから起こし直してくれました。

 挿絵やラフ画でもわかるとおり、神楽の基本装束は「巫女服」です。一方の弥呼は基本として「黒い制服」で描かれ、普段着的に修行僧が好む「作務衣」で描かれています。神道と仏教が混在する設定は、舞台である国東半島の「神仏習合」文化を顕しているものと言えるでしょう。

さて、いよいよ次回からは63号について紹介をはじめます!

2023年7月6日木曜日

『夏の真ん中』(3)

 前回に引き続き62号掲載の小説『夏の真ん中』について語ります(3回目)。

 この小説の著者は、当会きっての小説家「紺藤良古」です。作中挿絵を「ごまドレッシング」が担当しています。この二人のコンビは4作目となります。

 左は作中挿絵は、ごまドレッシングによるものです。

 挿絵で描かれている背景は「羊雲」となっています。これは挿絵担当の「ごまドレッシング」が作品を熟読し59号掲載『羊雲』のデジャブ作品であることを勘案して描いた背景です。狙い通りにデジャブ感は満載で「平成雲シリーズ」を通読すると見えてくるひとつのキーワードとして「雲」があるのだと気がつかされます。まさに「ごまドレッシング」によるすばらしい演出です。

 一方、「昭和雲シリーズ」のおぼろげな記憶をたどりながら読んだ私は、別の景色が浮かんできました。『積乱雲』です。前稿でもお伝えしていますが、『積乱雲』は昭和62年刊行の12~14号で連載された「雲シリーズ」最長編作です。現在では入手することはできません。この作品での出来事が、60号掲載『まちぶせ』、61号掲載『いつかのセッション』にも影響しており、もちろん『夏の真ん中』にも大きく関係しています。そのことが脳裏をかすめた私のイメージは「主人公の浩子が最後に掴もうとしたのは積乱雲」ではないかと感じたのです。

 上記のことは、ごまドレッシングさんとは一度話したことがあります。本作中で雲の種類を限定していないため、読者各々の想像に委ねられている部分ではありますが、「昭和雲シリーズ」がベースの私と「平成雲シリーズ」がベースのごまドレッシングさんとでは、やはりイメージが異なるのだと感づかされました。

次回は『最後の審判』に話を戻します。

2023年6月28日水曜日

『夏の真ん中』(2)

 62号掲載の小説『夏の真ん中』について語ります(2回目)。

 この小説の著者は、当会きっての小説家「紺藤良古」です。作中挿絵を「ごまドレッシング」が担当しています。この二人のコンビは4作目となります。

 左は作中挿絵は、ごまドレッシングによるものです。

 本作は紺藤さんの作品群「雲シリーズ」にあたります。59号掲載の『羊雲』、60号掲載の『まちぶせ』、61号掲載『いつかのセッション』に続く「平成雲シリーズ」の第4作目でもあります。

 本作は59号『羊雲』で主人公だった「村上浩子」の25年後の物語です。40代半ばの浩子が親友の初盆に参るなかでのワンシーンを切り取った話です。59号『羊雲』のデジャブを描く作品ですので、『羊雲』を読んでいないと見えづらい伏線が隠れています。もちろん紺藤さんは『夏の真ん中』だけでも読める工夫をされていますので、そのまま読んでいただいて大丈夫です。

 さらに隠された伏線があるのですが、これは「昭和雲シリーズ」を読んでみないとわからない伏線です。私は「昭和雲シリーズ」の挿絵を担当していますので、このすごい伏線に気がつきました。33年越しで小説として描かれる伏線回収。気がついた際に作者の紺藤さんに連絡し確認したくらいに感動しました。

 残念ながら、この伏線が張られている「昭和雲シリーズ」の5作目『積乱雲』については再版や復刻がされておらず、現状で手に入らない作品になっています。

 さて、次回は以前に書きかけました本シリーズでの「雲」のイメージについて解説していきたいと思います。

2023年6月22日木曜日

『夏の真ん中』について(1)

 少し更新に間が開いてしまいました、やっと私のネット環境が整いましたので更新を再開します。

 今回から62号掲載の小説『夏の真ん中』について語ります。

 この小説の著者は、当会きっての小説家「紺藤良古」です。作中挿絵を「ごまドレッシング」が担当しています。この二人のコンビは4作目となります。本作は紺藤さんの作品群「雲シリーズ」にあたります。59号掲載の『羊雲』、60号掲載の『まちぶせ』、61号掲載『いつかのセッション』に続く「平成雲シリーズ」の第4作でもあります。

「雲シリーズ」のルーツは、昭和61年刊行の4号に掲載された『茜雲』です。この作品を初出として長短編7作からなる昭和シリーズが登場人物達の高校時代を描く青春群像劇として掲載されています。今では入手できない刊行号もあり、幻となっている作品もあります(19号掲載『紅い雲』)。この「昭和雲シリーズ」の作中挿絵は、そのほとんどを和田が担当させてもらいました。

 さて左上の絵は『夏の真ん中』の表紙絵です。もちろんごまドレッシングさんが描いてくれたものです。誰の立ち姿かわかりませんが、あきらかに喪服です。本編に誰かの死が描かれていることを予感させます。そして題名通り「夏」の物語。ストーリーはこれまでの平成雲シリーズと同じく青春の残り香を描いていいます。刹那くも優しく、それでいて爽やかで懐かしさ漂う展開です。時系列としては60号の『まちぶせ』より少し後の話となるでしょう。

 次回は話の内容について触れたいと思います。