この小説の著者は、当会きっての小説家「紺藤良古」です。作中挿絵を「ごまドレッシング」が担当しています。この二人のコンビは4作目となります。
左は作中挿絵は、ごまドレッシングによるものです。
挿絵で描かれている背景は「羊雲」となっています。これは挿絵担当の「ごまドレッシング」が作品を熟読し59号掲載『羊雲』のデジャブ作品であることを勘案して描いた背景です。狙い通りにデジャブ感は満載で「平成雲シリーズ」を通読すると見えてくるひとつのキーワードとして「雲」があるのだと気がつかされます。まさに「ごまドレッシング」によるすばらしい演出です。
一方、「昭和雲シリーズ」のおぼろげな記憶をたどりながら読んだ私は、別の景色が浮かんできました。『積乱雲』です。前稿でもお伝えしていますが、『積乱雲』は昭和62年刊行の12~14号で連載された「雲シリーズ」最長編作です。現在では入手することはできません。この作品での出来事が、60号掲載『まちぶせ』、61号掲載『いつかのセッション』にも影響しており、もちろん『夏の真ん中』にも大きく関係しています。そのことが脳裏をかすめた私のイメージは「主人公の浩子が最後に掴もうとしたのは積乱雲」ではないかと感じたのです。
上記のことは、ごまドレッシングさんとは一度話したことがあります。本作中で雲の種類を限定していないため、読者各々の想像に委ねられている部分ではありますが、「昭和雲シリーズ」がベースの私と「平成雲シリーズ」がベースのごまドレッシングさんとでは、やはりイメージが異なるのだと感づかされました。
次回は『最後の審判』に話を戻します。
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