2023年3月31日金曜日

『いつかのセッション』について(1)


 61号のメインでもある『いつかのセッション』は、当会随一の文章書きである「紺藤良古」が著した短編小説です。59号『羊雲』、60号『まちぶせ』に続く「雲シリーズ」とよばれる連作の1編です。

「雲シリーズ」は、掲載の時期によって3通りに分類されます。初出の『茜雲』をはじめとする登場人物達の青春学園物語7編を「昭和雲シリーズ」、59号からの大人になった登場人物達の群像劇を「平成雲シリーズ」、令和になって掲載されたシリーズを「令和雲シリーズ」と呼びます(令和雲シリーズについては改めて解説します)。昭和シリーズでは登場人物達を高校生で描かれましたが、平成シリーズは成長した各々の姿で描いています。前作『まちぶせ』では40代前半の姿でしたが、今作『いつかのセッション』は6~7年遡る30代半ばの姿で描いています。扉絵や作中挿絵でも年齢設定は加味されており、前作の主役「伊達舞姫子」は少し疲れた中年風でしたが、今作の「阿井美雪」はかなり若いです。左の絵は小説の扉絵ですが、まさに昭和シリーズのころの登場人物達の高校生での一シーンを切り抜いたものです。制服も今風でなく、レトロ感漂う懐かしめのデザインとなっています。本編に登場人物達の高校時の描写は直接的にありませんが、扉絵を描くにあたり挿絵作家がしっかりと考証をしてくれています。その今作の挿絵作家は、前作より引き続きで「ごまドレッシング」さんに担当してもらいました。

 次回は『いつかのセッション』の内容について深く語ろうと思います。

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