改めて令和2年1月に発刊された『天真爛漫』63号に掲載された作品について、詳しく紹介しています。前回より『蜘蛛の糸-A0』について詳しく述べており、今回は2回目です。本作著者は当会の主力小説家である「紺藤良古」、挿絵は「θ(シータ)」が描いています。
前回では本編が「SF」であることを述べました。さらに芥川先生の『蜘蛛の糸』の2次創作であることも併せて述べました。そこで今回は本作の最大のナゾである題名に記されたA0(エーゼロ)が何なのか、解説したいと思います。
私も初読の際には芥川先生のAと何かのもじりの0(ゼロ)かと感じたところです。
その後、著者の紺藤良古に訪ねたところ意外な回答が返ってきました。
「本編は芥川先生の『蜘蛛の糸』をパロディ化した作品です。登場する蜘蛛は戦闘機という位置づけです。それも高度に制御された搭乗型の単独行動用マルチコンパクトタイプというSFメカ要素を含んでいました。その蜘蛛が地獄の亡者という極めて前世紀的な妄執の塊と対峙する姿は、当時OAされていた『アルドノア・ゼロ』のスーパーロボ対リアルロボの構図と被っていると感じました。そこでオマージュの意味も込めて『A0』と銘打ちました」
想像だにしなかった命名の航跡に、ただただ感慨深く頷きました。
次回は来年早々に発刊予定の『天真爛漫Vor.67』についてお知らせします。