この小説の著者は、当会きっての小説家「紺藤良古」です。作中挿絵を「ごまドレッシング」が担当しています。この二人のコンビは4作目となります。
左は作中挿絵は、ごまドレッシングによるものです。
本作は紺藤さんの作品群「雲シリーズ」にあたります。59号掲載の『羊雲』、60号掲載の『まちぶせ』、61号掲載『いつかのセッション』に続く「平成雲シリーズ」の第4作目でもあります。
本作は59号『羊雲』で主人公だった「村上浩子」の25年後の物語です。40代半ばの浩子が親友の初盆に参るなかでのワンシーンを切り取った話です。59号『羊雲』のデジャブを描く作品ですので、『羊雲』を読んでいないと見えづらい伏線が隠れています。もちろん紺藤さんは『夏の真ん中』だけでも読める工夫をされていますので、そのまま読んでいただいて大丈夫です。
さらに隠された伏線があるのですが、これは「昭和雲シリーズ」を読んでみないとわからない伏線です。私は「昭和雲シリーズ」の挿絵を担当していますので、このすごい伏線に気がつきました。33年越しで小説として描かれる伏線回収。気がついた際に作者の紺藤さんに連絡し確認したくらいに感動しました。
残念ながら、この伏線が張られている「昭和雲シリーズ」の5作目『積乱雲』については再版や復刻がされておらず、現状で手に入らない作品になっています。
さて、次回は以前に書きかけました本シリーズでの「雲」のイメージについて解説していきたいと思います。